Category: blog - 2011.01.15

Apple Store 2号店

<AppleStore - Covent Garden>
<AppleStore – Covent Garden>


ロンドンに2店目のアップルストアが出来たと聞いて嬉しくも思いながら、少しびっくりした。
どうして、実店舗?ましてや、さほど広くないロンドンのどこに2号店を出したのか。。。
「イギリスで一番のフロア面積を持つ店」とか「コヴェントガーデンに出来た」とかいう噂を聞くたびに期待は高まる。

なにせ、二番目の店舗が出来たコヴェントガーデンという場所は、フラッグシップのリージェントストリート店から歩いて15分ほどの場所。リージェントストリートはロンドンで一番のハイストリートで、東京の銀座やニューヨークの5番街にアップルストアが出来たのと同じ立地に当たる、ロンドンでは外せない場所だ。

<AppleStore - Covent Garden>吹き抜け部分
<AppleStore – Covent Garden>吹き抜け部分

小さなテーブルに利用者が集まる
小さなテーブルに利用者が集まる
<AppleStore - Regent Street>
<AppleStore – Regent Street>

逆にコヴェントガーデンと言えば古くからの市場を中心にバレエのロイヤルオペラやトランスポートミュージアムが周囲を囲む内向きな広場。アーケードの周りで行われる大道芸を目当てに、ショッピングに飽きた観光客の集まる少しユルい場所というイメージがあったからだ。

複雑な気持ちのまま行ってみると、ロンドン最大規模との前評判にもかかわらず、目立ったアップルマークも無い控えめな店構え。
ショーウインドーも無いため、通りに面して並べられたテーブルの上でMacの新商品をいくつかさわることができる。古い建物のフレームを壊さず改修して作った店舗は、天井も低くこじんまりした雰囲気なのだ。
いろんな意味で、ロンドンの一番古い大通りにハイテク、シンプル、ファッショナブル、と言ったMacプリンシプルを打ち出した1号店とは違う意味の心地よい違和感。

何なんだここは??とさらに進むと店舗の中心にある吹き抜けの空間に出る。
もともと中庭だったと思われる場所にガラスの屋根をかけてハイテーブルが置かれている。普通の電気製品を売る店舗には無い開放感のなかでMacを触る。ほぼ半分ぐらいの人は、自分のラップトップを持ち込んで使っている。開放感の中で、誰もがリラックスしているのが分かる。

周りを見ると、お父さんとお母さんがコンピューターに夢中ななか、後ろで子供が走りまわり、おばあちゃんがそれを端から見守っている風景。友達の家に遊びにいって、今にもコーヒーが出てきてもおかしくないような、リラックスした雰囲気がこの店舗にはある事に気がつく。
それぞれのテーブルも小さめに作られ、見通しの悪い既存のアーチに囲まれた小さな空間が上下、左右に繋がっていく構成は家のようでもあり、学校のようでもあり、コヴェントという場所の縮小版でもある。。。


そこで気がつく。アップルはこの2号店をMacを売るためだけの店ではなく、その経験や、家族やカップルで共有する楽しみを普段着の姿で体験してもらう店として作ったということなのだ。そして、コヴェントガーデンにもともとあふれるアットホームな雰囲気を店舗のイメージと構成にも反映している。
フロントにショーウインドーを作り、商品を並べるような事をしていないのも、実はMacを触るお客自体がこの店舗の広告になっているからということが後になって分かってくる。

企業と商品自体を広報するフラッグシップの役割があるとすれば、ユーザーに焦点を当てて顧客を繋げるという役割をこの2号店は持っているし、さらに今までに無いユーザーを獲得しようという新たな挑戦も見えてくる。
この画期的な経営戦略にロンドンで最大の空間を与えて打ち出そうという彼らのセンスに、まさに脱帽の2号店。狙った顧客の気持ちはがっちりと掴むだろうなと確信させられる。

はやくも期待の高まる3号店では是非ソファーとコーヒーを!!とお願いしたくなる。

Apple Store, Covent Garden

住所;No. 1-7 The Piazza London, WC2E 8HA
電話;+44 (0)20 7447 1400

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